ノウハウ
新築アパートでもフルローン可能?融資の基本と抑えるべきポイントを解説
2022.09.16
新築アパート投資において、いかに有利な条件で融資が受けられるかは非常に重要なポイントです。
物件価格が高額な分、借入金額はもちろん金利や返済期間などの融資条件はその後のキャッシュフローに大きく影響しますので、これから新築アパートの購入を検討している場合には、事前に融資審査に備えて準備しておくことをおすすめします。
今回は新築アパート融資の基本から5大審査基準や融資対策をご紹介した上で地銀の活用についても解説したいと思います!
そもそも、新築アパート投資を行うにはどのくらいの費用が必要になるでしょうか?
物件の立地や規模、土地取得の有無によっても変わりますが、例えば弊社で過去に販売した物件の場合、次のような費用が必要になります。
<物件概要>
■東京都23区
■最寄り駅徒歩4分
■木造3階建て(1K×12戸)
<費用>
■土地購入価格:6,420万円
■建物建築価格:4,680万円
■購入時諸費用(登記費用等):100万円
■ランニングコスト:470万円/年間(※1)
・土地・建物固都税:566,000円
・修繕費・広告費:472,000円
・管理費:472,000円
・火災保険料:60,000円
・共用電気・水道代:120,000円
・運営費(ネット、清掃、消防等):299,000円
・税理士費用:200,000円
・土地・建物不動産取得税:1,034,000円
・借入金 支払金利:1,478,000円(※2)
※1)ランニングコストは基本的に運用開始後、家賃収入から支出します。
※1)運用1年目の数字を記載しています。運用年数に応じてランニングコストは変動します。
※2)金利1.5%、返済期間30年、頭金1割、借入9割の場合の支払金利です。
1つの新築アパートを取得するとなると、このくらいのコストがかかります。
お客様の年収や金融資産、借入の有無、どのくらい自己資金を投入できるかにもよりますが、上記物件を購入するにあたって1割を自己資金、残りをローンにした場合、約1億円の融資が必要になります。
それでは次に、具体的に融資が実行されるまでの流れをお話ししたいと思います。
まず、融資の審査にはおおよそ1ヶ月ほどかかります。最初の融資打診では1~2週間、そのあとの事前審査(仮審査)でも1~2週間程度かかることが多く、そのあとの本審査では2週間から金融機関によっては1ヶ月ほどかかることもありますので、融資の実行までには1~1.5ヶ月ほどかかるとご理解いただければと思います。
【1】融資の打診を行う
購入希望物件の情報を元に金融機関に融資の相談を行います。
必要書類は金融機関によっても異なりますが、土地の資料、建築プラン、マイソク、レントロール、収支シミュレーションなどが必要になります。
この時、金利など融資条件も確認し、複数の金融機関で検討している場合には比較を行いましょう。
【2】事前審査(仮審査)を受ける
次に事前審査(仮審査)を申請します。
追加で必要な書類が発生した場合には用意が必要ですが、およそ1~2週間で結果が出ます。
【3】本審査を受ける
事前審査(仮審査)に通ったあとは、本審査を申請します。
本審査には追加で書類が必要になるケースが多いため、不動産会社とも連携してスムーズに対応できるよう事前に準備をしておきましょう。
期間にはバラつきがありますが、2週間~1ヶ月ほどかかることもあります。
▼必要書類の例
・源泉徴収票
・既存の借入があった場合には返済予定表
・金融資産がわかる書類
・売買契約書
・重要事項説明書
・登記簿謄本
・公図などなど
【4】契約締結・融資実行
本審査に通ったら融資確定となります。
最終的な条件の確認を行い、契約を交わします。その際、融資の実行日も確定します。
本審査が通った後は比較的早く進む場合が多く、契約締結~融資の実行まではさほど時間はかかりません。
次に、金利目安についてですが、融資を受けるにあたっては重要な項目の1つである金利。
当然それぞれの金融機関によって金利の目安も異なりますし、融資の条件や本人の属性などによっても変わります。
金利が低いとその分審査も厳しくなりますが、一般的にはメガバンク→日本政策金融公庫→地方銀行→信用金庫→ノンバンクという順で金利が高くなる傾向にあります。
・メガバンク:1~2%
・日本政策金融公庫:1.2~2%
・地方銀行:1.5~4.5%
・信用金庫/信用組合:2%台
・ノンバンク:3~4.5%
まずは融資を受ける本人の年収や勤務先などの属性が審査対象となります。
アパート経営には想定外の問題が発生することもあるため、万が一所有するアパートからの家賃収入が途絶えた場合でも他の収入で対処できるかを判断します。
年収が高いことも当然プラス評価にはなりますが、「安定した収入が得られているか」が非常に重要となります。
そのため、過去3年間の年収が審査対象となり、勤務先の規模や業種、勤続年数、雇用形態なども見られることになります。
つまり「もし何かあってもローンをきちんと返済する能力がある人」と金融機関に思われれば、より良い条件で融資を受けられるというわけです。
こちらも重要な審査項目です。
預貯金や保有している株・保険、他の不動産を所有している場合にはその資産状況などが対象になります。
また、本人の住んでいる家が持ち家かどうか住宅ローンの返済が残っているかなども関係しますし、既存の借入がある場合にはその残金、返済期間、返済状況なども見られます。
過去の家賃の支払いや携帯電話、カードローンなどに滞納履歴がある人は注意が必要です。
新築アパート融資の場合は住宅ローンとは異なり、月々の家賃収入が返済の原資となりますので、当然その物件の収益性も重要な審査項目となります。
家賃収入から差し引かれる減価償却費、管理費、大規模修繕費、税金など諸々の運用コストも考慮されるため、修繕費などのコストがかからない新築アパートの場合は収益性が高いと判断される確率が高いです。
(もちろん立地や家賃設定など、新築アパートであっても収益性が低いと判断される場合もあります!)
新築アパート融資の場合、通常は新築するアパートを担保に融資を受けることになります。
そのため、物件の資産価値が高いほど、担保としての価値も高くなり、審査に通りやすくなります。
土地の価値はもちろん、建物自体の価値も判断基準に含まれるため、構造や耐用年数、築年数、大規模修繕の有無等も審査の対象となります。
アパートに限らず、不動産投資の実績があるかどうかも審査の基準に含まれます。
もちろん実績がなくても他の審査基準をパスできれば融資を受けることは可能ですが、過去の実績において健全に経営できている場合にはプラス評価になります。
このように融資を受けるためには複数の審査基準をクリアする必要があります。
事前に出来る限りの対策をしておくことで、より良い条件で融資が受けられる可能性も高くなりますのでその一部をご紹介します。
年収や勤務先、勤続年数などの基本的な属性はすぐに変えられるものではありませんが、資産状況を整理することで属性が良く見えることはあります。
例えば、カードローンや車のローンなど、すぐに返済可能な負債は返してしまうこともその1つです。
融資審査の際、非常に重要になるのがこの収支シミュレーション(事業計画)です。
物件の収益性はもちろんローンの返済プランも含めて金融機関を説得するための資料になります。
家賃設定は妥当か、空室や建物の経年劣化による家賃の低下は考慮されているか、修繕費や広告費などの支出はどう計上されているかなど、現実的な数字であることが求められます。
中には収益性を良く見せるために家賃を相場より高額に設定されていたり、空室リスクが考慮されていない収支シミュレーションを作成する悪質な不動産会社もいます。
ご自身で知識を身に付けたうえで、信頼できる不動産会社と連携することが大切です。
融資審査の基準や期間は金融機関によって異なるとお伝えしましたが、それぞれの金融機関の特徴を把握しておくことも重要です。
例えば、当然ながら新築アパート融資を行っている金融機関でなければいけませんし、その中でも審査が厳しい、比較的緩い、金利や返済期間など融資条件の情報収集も大切になります。
さらに、金融機関(特に地方銀行や信用金庫など)によっては、物件の場所や融資を受ける人の居住地などが営業エリア内にないと融資が取り扱えない場合もあります。
また、同じ金融機関でも支店によって融資の取り組み方が違う場合もあり、◎支店ではだめでも■支店では融資が受けられるといったケースもあります。
金融機関の情報についてはご自身で調べるのは大変ですので、不動産会社に金融機関の開拓をしてもらったり、提携銀行を紹介してもらうことも方法の1つです。
昨今の融資事情は厳しい状況が続いているということは周知のとおりですが、これはアベノミクス以降の不動産投資の過熱、それを受けて相次いだ不正融資、さらにはコロナ禍など時代の流れが大きく影響しています。
しかしながら、徐々にその風向きは変わりつつあり、地方銀行がアパート融資に積極的な姿勢を見せ始めました。(よく名前が挙がる地方銀行は「横浜銀行」「千葉銀行」「スルガ銀行」「静岡銀行」などです)
メガバンクは金利が低い点は魅力となりますがその分審査も厳しく、融資を受けるハードルはかなり高くなります。
本人の属性にもよりますがフルローンで融資を受けることはほぼ不可能です。
その反面、地方銀行の場合は「年収700万以上、金利2.1%、フルローン、返済期間35年」といった条件で融資を受けられたという話も少なくありません。
但し、「融資対象者が該当地域に居住していること」や「対象物件が該当地域内であること」などの諸条件が発生する場合も多く、本人の属性が良いからといって融資を受けられるとは限りません。
しかし逆に考えると、一定の属性や条件をクリアしていればチャンスはある!というわけです。
つまり、何が言いたいかと言いますと、投資対象エリアの検討範囲を広げることも選択肢の一つということです。
都内在中で「23区内 駅徒歩10分圏内」の新築アパート投資を検討している場合、物件価格も高額になりますし、融資の条件も厳しく、競争率も高いですが、地方都市の物件であれば好条件で融資が受けられる可能性があるということです。
弊社ではこれまで一都三県を中心に一棟収益物件を販売してきましたが、お客様のニーズに適したより良い物件をご紹介するために独自の調査を行った結果、関東主要エリア・仙台市にも範囲を広げることにしました。
地方都市での不動産投資はリスクが高いと思われがちですが、しっかりと需給バランスを見極めエリア選定を行うことでたくさんのメリットを享受することができます。
今回は新築アパート融資の基本から審査基準、審査対策などをお伝えしましたが、いかがでしたか?
まずは融資対策をしっかり実施した上で、地方銀行の活用、地方都市での不動産投資も視野に入れて、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。