ノウハウ
融資が出やすいは嘘?新築アパート投資の融資事情を解説!
2022.10.07
新築アパート投資に限らず不動産投資全般に言えることですが、いかに有利な条件で融資を受けられるかは非常に重要なポイントです。
先日のコラム「新築アパートでもフルローン可能?融資の基本と抑えるべきポイントを解説」では融資の基本や対策、地銀の活用についてもご紹介しました。
ひとえに新築アパート投資と言っても、物件によって融資の難易度がかなり変わってきます。
今回は土地先行型の「土地から新築」と「建売新築」の2つについて融資事情を解説いたします!
はじめに、新築アパート投資には大きく分けて新規に購入した土地(もしくは相続などで既に自身が所有している土地)にアパートを建築する土地先行型の「土地から新築」という方法と、不動産業者が販売する建築済み(竣工後)の新築アパートを購入する「建売新築」という2つの方法があります。
弊社で主に扱っているのは土地から新築になりますが、この方法の場合は購入費用を安く抑えられる(利回りが上がる)ことが最大のメリットです。
しかしその一方で、基本的には土地購入後の建物の施工はお客様自身と建設会社との契約になりますので、アパートが完成するまではお客様自身でその責任を負う必要があり、これには様々なリスクがあることも事実です。
例えば、天候や資材調達の遅れなどで工期が予定より遅れることもありますし、場合によっては追加の建築費が発生することもあります。
大なり小なりありますが、次々と発生するトラブルに1つ1つ対応しなくてはならないので時間も労力も必要になります。
このように、土地から新築の場合はかなりハイリスク・ハイリターンな不動産投資手法であり、そこに潜むリスクを十分にご理解いただいた上で、挑戦する必要があります。
その点、建売新築の場合には既に竣工済みのアパートを購入するわけですから、追加の建築費が発生するリスクやトラブル対応を行う必要もありません。
もちろんその分、購入費用は土地から新築に比べて割高にはなります(利回りが下がる)が、既に完成した物件ということで諸々のリスクが少ないことから銀行の融資も受けやすいこともあり、不動産投資の中では比較的安全な手法と言えます。
どちらが良い・悪いということはなく、お客様自身の属性やライフスタイル、不動産投資に対する考え方によって適した手法を選択することが大切です。
以上が新築アパート投資における2大手法、土地から新築と建売新築の違いになります。
では、この2つの手法で融資事情は変わってくるのでしょうか?
「新築アパート投資は融資が受けやすい!」と言った情報がインターネットをはじめとする各種媒体に掲載されているのを目にしたことがあるお客様も少なくないと思います。
これ、半分嘘で、半分本当です。
と言いますのも、先ほどお伝えしましたが建売新築においては、既に完成したアパートを購入するため安心安全な不動産投資手法ということで金融機関の審査も通りやすい傾向にあります。
例えば、「年収700万、金利2.1%、フルローン、返済期間35年」といった条件で融資が受けられたとした場合、対象となる物件は建売新築であることが多いと思います。
一方の土地から新築の場合、前述のとおりハイリスク・ハイリターンな不動産投資手法であることから金融機関の審査も非常に厳しく、好条件で融資を受けることはかなり難易度が高いです。
そういった意味で「新築アパート投資は融資が受けやすい!」は半分嘘で、半分は本当ということになります。
不動産投資の融資難易度では、土地から新築でアパートを自分で建てるのが最も融資が厳しく、その次に中古物件、そして最も簡単なのが建売新築になります(あくまでも弊社のイメージです。)
建売新築や中古アパート、区分マンションで楽勝に融資が受けられたお客様でも、土地から新築になると融資が出ない…となるケースも少なくなりません。
巷に出回っている「新築アパート投資は融資が受けやすい!」という情報を鵜吞みにして土地から新築を選択した場合、全然融資が出ない!!!なんてことになりかねませんので注意が必要です。
また、少し余談になりますが、土地から新築と建売新築では融資を受けるタイミングも変わってきます。
建売新築の場合は物件購入時に金融機関から融資を受け、物件購入直後から家賃収入が発生することが前提で、元本の返済もすぐに開始となります。
一方の土地から新築の場合、自己資金の割合にもよりますが土地購入時の融資、建物着工時・上棟時・竣工時の融資と複数回に分けて行われるケースもあります。
その間、当然ですが家賃収入はゼロなので、元本の返済は発生しませんが利息の支払いが必要になります。
そのため、金利と返済開始時期も非常に重要になるのです。
詳しくは今回割愛しますが、このようにただ融資を受けるだけでなく、その内容においても土地から新築は複雑で難易度が高いことがご理解いただけるかと思います。
次に、中古物件を購入する際の融資事情と比較してみたいと思います。
その話をする前に、そもそも何故「新築アパート投資は融資が受けやすい」と言われるようになったのかについてですが、これまでずっと金融機関は「積算法」で担保評価を行ってきました。
既にご存知かと思いますが「積算法」とは、土地と建物それぞれのモノの価格から評価する手法で、土地は路線価を元に、建物は「その建物を再建築(新しく建築)したらいくらかかるのか」という再調達原価を加えたかたちで計算します。
そしてそれらの合計がその物件の価値となり、ここで出た価格を積算価格と言います。
・積算価格=土地価格+建物価格
・土地価格=(相続税路線価×土地面積)
・建物価格=(再調達原価×建物延床面積)×[残存年数÷法定耐用年数]
式にするとこのような計算式になります。
話しを戻しまして、この「積算法」ですが、昭和39年に制定された「不動産鑑定評価基準」によって考えられた方法であり、当時の価値(再調達価格)を元に計算するため、現在の価値におきかえると中々担保価値を維持する事が難しくなって来ました。
そこで「不動産鑑定評価基準」が収益性を重視した鑑定評価を含める内容で改訂され(これまでに複数回改訂されています)、次第に金融機関も「収益還元法」を取り入れるようになりました。
このような背景の中、金融機関の間で不動産融資に大きな差が開くようになったため、いくつかの金融機関で「収益還元法」を採用したことで新築アパート投資にも融資出来る枠が広がってきたというわけです。
つまり、「新築アパート投資は融資が受けやすい」というのは少し誇張された表現ということになります。
新築アパート投資における融資メリットは「返済期間を長く取れる」これ一点です。
後は全て中古物件の融資に負けてしまいます。
中古物件は融資が出ないなどの情報がよく出回っていますが、融資を出すだけだったら中古物件の方が土地から新築よりも100倍出やすいのです。
なぜなら、前述したように新築アパートを「積算法」で評価すると100%担保割れしてしまうからです。
中古物件だと土地の価値が高ければ十分資産価値が守れます。
何が言いたかったかと申しますと、中古物件では融資が出ないだろうからと言って新築アパート投資(特に土地から新築)を選択するのはリスクが高く、最も融資の難易度が高いのは「中古物件」よりも「土地から新築の新築アパート投資」だということをご理解いただきたかったのです。
冒頭にもお伝えしましたが、弊社が主に扱うのは「土地から新築」の新築アパートです。
それにもかかわらず、土地から新築は融資が難しいといった内容ばかり話してしまいましたが、弊社のお客様をはじめ、新築アパート投資を検討中のお客様には誤解を招かぬよう、事実を伝えさせて頂きました。
弊社がそれでも土地から新築を扱う理由、それはいくつものリスクを抱えており難易度も高いけれど、やることが出来たならそのメリットは建売新築や中古よりも沢山あるからに尽きます。
また改めて土地から新築のメリットについてはご紹介できればと思います!